ウリボウの正体~パチモノの悲しみ ウリボウ物語①

今日は、僕たちウリボウの生い立ちをお話しようと思います。

今は、ある人の所に身を寄せて、ブログを書くお手伝いをしていますが、元々僕たちは、伊豆の天城いのしし村で平和に暮らしていました。

いのしし村はとっても良い所で、毎日猪たちのレースが行われ、観光客の皆さんを楽しませていました。子供のウリボウ達を見ることが出来たり、伊豆半島のお土産を買うことも出来ました。

そのお土産売り場で、僕たちは販売されていたのです。確かラッキーとかいう名前で、売られていたと思います。

 

怒りんぼの相棒のウリボウとトホホ顔の僕。そして生き別れのいつも笑っているウリボウの3兄弟で売られていたのです。

ぼくたちは、お腹に音の出る笛が仕込まれていて、背中から脇腹を押すと、ブウ~という音が出る作りになっています。きっと僕たちの鳴き声をマネしたのだと思います。

僕たちは生まれたときから、今の姿で、いのしし村で仲良く暮らしていたのですが、ある時、新婚で遊びに来ていた夫婦に買われて、東京にやってきたのです。

東京に来たときは、僕たち以外にもたくさんの仲間がいて、毎日その夫婦たちと楽しく暮らしていました。夫婦にはやがて子供が出来て、その子も大きくなるにつれて、僕を使って楽しく遊んでくれていました。

ほんとうに毎日が楽しくて楽しくて、まるで夢の様でした。

たまに公園に連れて行ってくれたり、旅行にも一緒に行ったりしました。できれば、伊豆の天城いのしし村にも行きたかったけど、若い夫婦はその後、伊豆に行く機会が無かったようでした。

それでも、夫婦やその子供と一緒に暮らしていた僕たちですが、ある日事件が起きたのです。

そう、僕たちの正体が分かってしまったのです。それは僕たちが飾られていた棚に偶然収納されていた漫画本が原因なのです。

www.makuake.com

僕たちは、ある漫画家が書いた動物漫画『かってにシロクマ』のサブキャラクターのウリ坊の模造品(パチモノ)として作られ、適当な名前を付けられて売られていたのです。

僕たちは、よく見るとその漫画のサブキャラのウリ坊にそっくりなのです。

はじめてそのことを知った時はショックでした。だって、僕たちは生まれてきても、自分達がパチモノだなんて、まったくそういう意識がなかったんだもの。

僕たちのせいではないと思い、随分悩んだりもしました。

そうとは知らずに、僕たちを買ってくれた人はたくさんいました。なかにはその漫画のサブキャラのパチモンだとわかっていて買ってくれた人もいたと思います。いのしし村ですから、そのようなことも笑って許してくれたのだと思います。

でも、パチモンだと判ったとたんに遊んでくれなくなったり、ほったらかしにされた仲間もたくさんいます。

なかには、もっとひどい仕打ちを受けた仲間もします。悲しくって、思い出すのもはばかられるくらいです。

若い夫婦の家では、こんなパチモノの僕たちでも大切にしてくれていたのですが、旦那さんの転勤が多いため、旦那さんの実家に預けられることになりました。

最初は大きな書棚の一角に大切に置かれていたのですが、時の経過とともに忘れられ、ぞんざいな扱いを受けるようになりました。

旦那さんのご両親も高齢になり、僕たちを十分にかまってくれることが出来なくなったのだと思います。僕たちは不用品入れに移され、埃をかぶり、今度の不燃物の回収日に出されることとなりました。

怒りんぼうのウリボウの顔の上には、がらくたがのしかかり、僕もかごの下に埋もれてしまいました。もうだれも気付いてくれないのかな・・・

偶然にも、その日は旦那さんのお母さんの具合が悪く、不燃物のゴミ出しがされないまま、玄関に僕たちを入れた不用品入れのかごが放置されていました。

息子さんが単身赴任先からたまたま帰ってきて、埃をかぶっている僕たちを見つけて、救出してくれました。

あと何日か旦那さんの発見が遅れれば、僕たちは廃棄処分になっていて、このブログに登場させていただくこともなかったと思います。

この世の中の巡り合わせとは、かくも不思議なものですね。僕たちはかごに埋もれながら、栄光あるお正月飾りも務め、栄華を極めたことをとても懐かしく思い出したりもしました。

また、不用品のかごの中で、時には悲しくて仕方がないときもありました。そんな時は、僕たちがパチモノだから、こんな運命になるのかな・・・と思ったりもしました。

最後のときも覚悟もしました。

 

でも、最後の最後で、旦那さんに助けられて、また旦那さんの家で、しかも旦那さんのブログにも出させてもらっています。

結構パチモノの僕たちでも「可愛い」って言ってくれる読者の方がいて、とても嬉しく思っています。

諦めないでいると、この世の中良い事もあるのだと思います。最近は旦那さんの部屋にたまに忍び込んでくる息子さんにも再会できました。

旦那さんが大切にしているウイスキーをちょろまかして飲んでいるみたいです。

でも僕たちの元気な姿を見て、笑って、喜んでくれているようでした。でも、あのちっちゃかった子供さんがあんなにも大きくなって、成人しているのにはびっくりしました。

それにしても、最初は少しずつこっそり飲んでいたのに、最近は病みつきになって、度を越して飲んでいるみたいです。そのうち、旦那さんにばれるのではないかと、ヒヤヒヤしています。

でもパチモノの僕たちを大切にしてくれた旦那さんだから、子供さんが大切にしているウイスキーを飲んでも、たぶん怒らないだろうなと思います。

僕たちは、不幸な過去を振り向かず、今を楽しんで生きています。できれば、多くの方に旦那さんのブログを見てもらうお手伝いを、これからもしていけたらと思っています。

みなさん、パチモノの僕たちですが、こらからもこのブログにはちょくちょく登場しますので、よろしくお願いします。

やさしく見守ってくださいね。僕たちのふるさとの「いのしし村」は、今から何年も前に、無くなってしまいました。

僕たちは、このブログの中が、最後の故郷なのですから。あっ、そろそろブログの写真の撮影の時間がはじまる。

今日はウイスキーかな。着物の生地かな。どっちもでも、やることがあるってとっても嬉しい感じがします。ウリウリ~

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