今日は、ウリボウ物語幕末編④にお越しいただきありがとうございます。ウリボウ物語幕末編は今回で大団円を迎えます。
最後はどんな結末が待ち構えているのでしょうか。
~前回までのあらすじ(気になる方はウリボウ物語幕末編①からご一読ください)
今の日本惨状を憂慮した兄貴たちは、歴史改変に向けて幕末の大阪城にタイムスリップ。
大阪城代の牧野笠間藩主にお願いして、恭順の道を選ぶよう説得するはずでした。
直前まで、戦意高揚を図った徳川慶喜ですが、鳥羽伏見の戦いの真っ最中にまさかの敵前逃亡!!
幹部だけでさくっと大阪城を抜け出し、大阪湾に停泊していた幕府の軍船にのって、とっとと江戸に帰ってしまいます。
大坂城代の牧野の殿さまにも、江戸にもどる話は聞かされておらず、残された者たちは、大阪城内で呆然と立ちすくむのでした。
これから一体どうなのるのでしょう~
私は、ウリボウのメソと申します。予想外の将軍のトンズラに、プリ共々怒り心頭です。
残された面々は、城内に残された御用金18万両を守りながら、江戸に帰ることになりました。
このお金は大金だけど、幕府の埋蔵金でうわさされいる金額とはケタが1ケタも2ケタも違います。
でも、幕府軍にとっては大切なお金。大阪城代だった牧野の殿様からも『死守せよ』と命令が来ています。
兄貴:『18万両を運びながらの殿戦(しんがりせん)、これはきつい戦いだ!』
メソ、プリ:『もうこれ以上の戦いは厳しいうり~』『刀折れ矢尽きモードうりっ』
数に勝る幕府軍も、将軍慶喜のいきなりの敵前逃亡で戦意を失い、あとは見事なくらい、敗走を繰り返しているのでした。
秀さんこと、ウリボウのご主人のご先祖様も、示現流の使い手で多くの薩長軍を切り捨ててきましたが、刀も切れ味が鈍り、重く感じるようになってきました。
勘定方の小野さんも苦手な剣術にもかかわらず、とっさに刀を抜きます。
兄貴:『小野さん、それ刀じゃないって、そろばんだって』小野さんが、襲い来る敵に思わず懐から取り出して、敵兵の振り下ろす刀を受けたものは、なんと・・・そろばんでした。
そろばんは、壊れて玉がはじけ飛びます。飛び散ったそろばんの玉に滑った敵兵が将棋倒しになり、思わず進軍がとまります。
兄貴:『なんってこったい。こんなんありなの?』
メソ、プリ:『この隙に俺たちもトンズラ~』
兄貴:『そうもいかないみたいだ。』
『こんなに重い荷物(千両箱)を運んでいたんじゃ無理っ。どうやら正面からも回り込んできた敵小隊が迫ってきている』
『絶体絶命とはまさにこんな状態だな・・・』
一同全員、もはや命運尽きたかと思った瞬間、騎馬に乗った将兵と大男に率いられた一群が側面より突進して来ます。
あっという間に薩長軍をなぎ倒し、御用金輸送部隊を援護してくれたのです。
助けに来てくれたのは、土方歳三、斎藤一ら新選組の面々でした。彼らは、江戸まで御用金の護送が上手くいくように手を尽くしてくれました。
ご主人様たちは、なんと新選組に救われたのです。
その後、新選組の近藤局長は体制を立て直し、新たな組織を作ったものの、政府軍との戦いに敗れます。
近藤は千葉の流山で投降し、その後都内の板橋で処刑されたのでした。
土方は近藤の助命に動きましたが、幕府の要人の勝海舟は動かず、動乱のさなか近藤は露と消えていきます。
その時、小野さんがつぶやいた言葉が残っています「勝に頼んでも意味がない。自分の利用できない駒に情けをかけるような男ではない。私より、出世のそろばんは彼の方が遥かに上を行っていると・・・」
小野さんは、数学に秀でており、航海術にも練達しているのです。幕府が咸臨丸でアメリカに勝を派遣した時、小野さんは咸臨丸の航海長(艦長は勝海舟)でした。
よく勝海舟の人物を観察し、人間的にも信頼できないと思っていたようです。
その後、土方は官軍に恭順した徳川慶喜をよそに、最後まで戦い続け、旧幕府軍と命運をともにするのでした。
笠間藩もその後恭順し、旧幕府軍と戦いますが、装備は戦国時代さながら。火縄銃なども使っていて、最新の武器を使う、旧幕軍にぼろ負けしたそうです。
兄貴:『もうこの時代に残っていても意味はない。完全に失敗だった』
メソ、プリ:『うりうり~(残念だよう~)』
三匹は、笠間に戻ると、佐白山のランダムアクセスポイントから現代に戻ってきたのでした。
三匹は、旦那さん(ご主人=uribou)に報告します。
uribou:『そうか、歴史改変上手くいかなかったか。歴史は変えられなくったって、僕たちは今ここにいる。ここで頑張るしかないよ。お疲れ様でした。ありがとう。』
ご主人はやさしく、3匹をねぎらいます。
しばらくして、兄貴が言いました。
兄貴:『ご主人、約束の品物だぜ』といって大きな丸底付巾着をご主人(uribou)に渡します。
巾着からは、壺のようなボトルとギヤマンのガラスが出てきました。
なんと、兄貴は大阪城から、幕府に献上されていた黒船伝来のウイスキーを、もぬけの殻の大阪城から持ってきていたのです。
兄貴:『これをオークションにかければすごい金になるぜ』
uribou:『そんなことをしたら、ウイスキーの転売屋と同じだよ。酒は飲むためにある。』
ウリボウたちがもどって来たその夜、ウリボウ達3匹とご主人(uribou)は、幕末の戦いの顛末を肴にウイスキーを酌み交わしたのでした。
そして、兄貴は小野さんからの伝言をご主人に伝えます。
兄貴:『敵は薩摩・長州だけではない。仕事をしていれば、常に傍に敵がいることを忘れないように。けっして油断しないことだ。』
uribou:『・・・定年した今の俺に言う!!もっと早くいってよ~』
東京の夜空には、星はほとんど見えないようです。
uribou:『今の俺の心を映しているようだぜ。』
また、ご先祖さまからの伝言も伝えます。
兄貴:『ウリボウ達から話を聞くとウイスキーとか着物生地とかロクなものに金を使ってないようだな。財産は結構あるけど全部、国に寄付しておくからね~』
uribou:『うっ・・・うりうり~(胃の奥から絞り出すような声で)』
真っ暗な夜空に、1等星が微かにきらめいているようにでした。12月が近づき、もう秋は終わってしまっているのでした。
ウリボウ物語 幕末編 完
またいつかどこかで3匹と会えるかもです~
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※注意:この物語はフィクションで登場する人物、ウリボウの擬人化等々は作者の妄想であり、現実の団体や人物、思想や宗教団体とは一切関係ございません。くれぐれも誤解なきようよろしくお願いいたします。