ウィスキー名:ゴールデンホース エクセレント
容量、度数:720㎖、43%
原材料:モルト、グレーン
購入価格:頂きもの送料:ー 購入場所:ー
今日は特級表示の「ゴールデンホース エクセレント」をご紹介いたします。80年代のウイスキーになると思います。


このウイスキーは、87・88年版の世界の銘酒辞典によると、東亜酒造から発売されたブレンデッドウィスキーになります。
同書によると東亜酒造は埼玉の羽生市に設立された会社で、設立は1916年。なんと戦時中なのですね。この会社がウイスキー部門に参入するのは戦争直後の1921年。
なんか聞き覚えのある会社名だと思ったら、東亜酒造は、あのイチローズモルトを生み出した肥土(あくと)伊知郎氏のお父さまが2代目の社長だった会社です。
その当時、自社蒸留を始める前はスコットランドから輸入した原酒を自家貯蔵し、熟成させていて、同社のウイスキーは埼玉のスコッチといわれていたそうです。今のイチローズモルトでもその手法は受け継がれていますね。
当時、サントリーに入社して7年目だった彼は、東亜酒造の社長であるお父さまから経営不振のため自社に招聘されましたが、彼の努力の甲斐もなく、東亜酒造は2000年に民事再生法を申請します。
会社は関西の企業に事業譲渡が決まりましたが、東亜酒造の羽生蒸溜(じょうりゅう)所で造ったウイスキーの原酒を廃棄するよう言われます。
「この原酒を救いたい」、「世に出すんだ」、という思いで、後にイチーズモルトを生み出すベンチャーウイスキーを肥土伊知郎氏は立ち上げたのです。
なんというドラマでしょうか。このウイスキーは、その東亜酒造が手掛けたスコットランドから輸入したモルト原酒と国産のグレーンアルコールをブレンドした力作です。
このシリーズには、この他に8年熟成したゴールデン ホースエイトと、スコッチモルト100%を意味するゴールデン ホース100が存在します。これらのウイスキーも探して飲んでみたいですね。
ちなみに現在の東亜酒造と肥土氏とは特段の関係はないようです。なお東亜酒造としては2016年(平成28年)から再びウイスキーを販売し、ゴールデンホース武州と武蔵の2銘柄を発売しています。
それでは飲んでみましょう~
<色合い>
・黄金色っぽい琥珀色。きれいな色合いです
<香り>
- かすかに澄んだ樽の香り
- 甘くまろやかな香り
<味わい>今回はストレートで飲んでいきます
- 40%モルト原酒の影響か、モルトの風味がかなり感じられます
- ハイランド系のモルトでしょうか。どっしりとしたコクのあるうまみを感じます
- フルーティーでふくらみのあるまろやかさは、安ぽいブレンデッドウィスキーにはない一段上の美味しさを感じます
- それでいてベースは昔ながらのブレンデッドウイスキーの味わいですが、グレーンの風味とモルト由来の酸味が絶妙にマッチして旨みを醸し出します
- 以前飲んだイチローズモルトの羽生蒸留所の原酒を使ったウイスキーの風味をかすかに感じました。
※原酒はスコッチのモルトですから、実際は関係ないはずですが・・・
家内のお見舞いを頂いた方にお返しの品をお届けにいったところ、このウイスキーをいただいてしまいました。
干し柿の加工用に使われていたようですが、少しもったいない気がしました。
このゴールデンホースという銘柄は、現在も東亜酒造に受け継がれていて、イチローズモルトの会社とは縁がきれています・・・それでも肥土家の努力の足跡はこのように残っているのです。
このウイスキーは輸入モルトを使っていますが、その後のイチローズモルトのダブルディストラリーズにつながる系譜になっていると思います。
最初は、古いウイスキーだなーと思っていましたが、思わぬ掘り出し物に出会え、昔の素敵なウイスキーを愉しむことができました。
いただきました方には心より感謝申し上げたいと思います。