輿水精一さんのセミナーに参加してきました!

昨日は、午後から酒育の会主催の、輿水精一さんのセミナーに参加してきました。

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⇧酒育の会ホームページより

 

約2時間のセミナーでしたが、

  • 前半が輿水さんが現在取り組んでいること
  • 中盤が現在の日本のウイスキーについての考え
  • 後半が質疑応答
  • 最後に、響を中心としたブレンデッドウイスキーのテイスティング

という流れで進行しました。

 

<前半>

現在取り組まれていることとしては、

  • サントリーの名誉チーフブレンダーとして週2~3日は山崎蒸留所に顔を出す
  • ハセラボという会社を共同経営で運営。年齢とともに、アルコールが飲めなくため、水で薄めなくても香味成分が残る、アルコール度数が弱くても美味しいウイスキーを開発したい
  • 「CELLARR®︎」で、作り手の生の声を発信する仕事をしている。ビデオ等を取りだめして、4~5月には発信したい。Barなどに面白い情報が提供できればと思うとのこと。

    tista.co.jp

  • 日本酒の古酒を取り扱っている7つの酒蔵から構成する、「刻SAKE協会」より頼まれて、3人の顧問のうちの1人になった。ウイスキーの樽で後熟させることにしたが、力がない酒だと風味が損なわれるが、日本酒は力強い酒で樽負けしない酒ができた。また、ブレンダーとして個性の異なるブレンデッド古酒を作ることができたのは良かった。4本セットで80万。

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⇧刻SAKE協会のホームページより

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⇧刻SAKE協会のホームページより

協会のこと | 一般社団法人 刻(とき)SAKE協会

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<中盤>

日本のクラフトウイスキー蒸留所ができるペースが速まっている。小さなものも含めれば、小将来的にはかなりの数ができると思われる。

酒屋やビール醸造者はウイスキーを手掛けるのは理解できるが、全く作ったことがない人や会社まで参入してくるのには驚いている。良いものが出来ているが、淘汰される蒸留所も出てくるのではないかと思う。やはり大手が手掛けっられない分野を攻めることを期待したい。

 

<終盤>

質疑応答については、参加者が数人、思い思いの質問をしました。私uribouも、以前ブログに書きましたが、ウイスキーの樽熟成について、榧の木を使えないかについて質問をしました。

山崎や響の香木のような香りに近い榧もあれば、台湾のカヴァランウイスキーのような香りの榧もあります。

北の方の産地の榧は、薬っぽい香りのものもあり、樽のすべての材に貴重な榧の木を使うことは出来ないかもしれませんが、鏡板(注)の部分だけでも使うだけで香味を変化させることはできるかもしれないとのことでした。

(注)「鏡板」

ウイスキー樽の両端に使用される円形の板を「鏡板(かがみいた)」と言い、ウイスキーの長年の貯蔵に耐えられるように、側板同様に、オークの柾目材を使って作られる。碁盤で柾目というと、高価なものになるのが、通常で輿水さんもその辺を心配されていました。碁盤の場合は、古いものは正寸に届かないもの(42.5cm×45㎝)は、現代の碁石(22㎜)をならべずらくなっており、利用価値は低減してきている。

 

ウイスキーの熟成にいろいろな木の種類をためされていたことは、著書にもかかれていますが、榧はなかったようです。

現在、私が保有する榧は、42㎝×45㎝、熱さが16センチ前後のものが3つ(要は古い碁盤)です。

これらの古くなった碁盤を樽の材の一部にでも使って熟成させることが出来れば、ひょっとしたらミズナラを上回る素晴らしい香りのウイスキーが出来るのではないかと期待してしまう、私でした。

輿水さんがどこまで話に興味を持っていただいたか分かりませんが、碁盤の脚だけでも一本持って行けばよかったかなと、思いました。(榧の香りの風味を感じていただけたと思います)

気にされていたのは、タンニンなどの木材の成分がどのように原酒に伝わるか、木材と原酒の親和性など樽材としての適性にあると思います。

榧の木は、昔は対水性もあり、風呂桶にも使われていたので、その辺が樽になじむかどうか、香味成分としてふさわしいものになるのか、やってみないとわからないまもしれません。

全く、荒唐無稽な質問でしたが、貴重な機会をいただけて、とても有難かったです。

 

<最後>

響を中心としたウイスキーのテイスティングです。

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響に関しては、12年と17年は飲んだことがありますが、21年については、飲んだことはありません。

また、最後の1本は白州5割、山崎5割をブレンドしたもので、とっても珍しいウイスキーとのことでした。

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テイスティングの詳細は、後日レポートいたします。印象に残ったのは12年と21年でした。

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この中で、輿水さんの一番の思い入れのあるボトルは、響12年とのことでした。

現在、ウイスキーの主戦場は、12年物とのこと。人に例えるなら、まさに働き盛りの壮年期での勝負ということで、こだわってみたかったとのことです。

この辺のくだりは、当日限定数冊だけ販売された著書でも触れられています。また、セミナーでお話された部分の核心に迫るところも、著書にも多くかれていますので、ウイスキー好きの方には、是非ご一読されることをおすすめいたします。

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輿水精一 - Wikipedia

~経歴~​

山梨県甲府市生まれ。山梨大学工学部発酵生産学科卒業。 1973年サントリー入社。多摩川工場でのブレンドグループを経て、1976年より研究センターでウイスキーの貯蔵・熟成の研究に従事。1985年より山崎蒸溜所で品質管理、貯蔵部門を担当した後1991年よりブレンダー室課長となる。 

一日に200種類以上もの原酒をテイスティングし、世界的なコンペティションでトロフィーを受賞した「響21年」(1994年発売)「響30年」(1997年発売)をはじめ、「山崎50年」「同35年」など、様々なサントリーウイスキーの開発・ブレンドに携わる。1996年に主席ブレンダー、1999年より「ウイスキーの品質を決める最終評価者」であるチーフブレンダーとなり、2014年9月にチーフブレンダーの任期を終え、サントリースピリッツ(株)の名誉チーフブレンダーとなる。 

2015年3月、ウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』が認定する「Hall of Fame(ホール オブ フェイム)」を受賞。授賞式は、同誌が主催する「Icons of Whisky」の授賞式とあわせて3月19日(木)にイギリス・ロンドンで開催され、日本人として初めて“ウイスキー殿堂入り”となる。 

2003年のインターナショナル スピリッツ チャレンジ(ISC)において「山﨑12年」が金賞を受賞し、世界にジャパニーズウイスキーの価値を広げた立役者となり、翌年2004年のインターナショナル スピリッツ チャレンジ(ISC)から、他のウィスキーメーカーのマスターブレンダー及びチーフブレンダーと共に審査員を務める。 2004年より立て続けに「響」「山崎」「白州」の金賞が受賞し、2010年にインターナショナル スピリッツ チャレンジ(ISC)にて、ウィスキーメーカー企業としてもっとも栄誉ある賞「ISC2010 ディスティラー オブ ザ イヤー」を受賞。 チーフブレンダーとしての任期2014年が終わるまで、2012年、2013年、2014年にも「ISC2010 ディスティラー オブ ザ イヤー」を受賞し続けた。 

~現在~​

現在、京都の老舗料亭「梁山泊」の主人、橋本憲一と共に株式会社ハセラボを設立し、特定の成分(アルコール、塩分など)の分離による、健康に優しい嗜好品の開発の実現を試み、高齢者や飲めない体質の方でも健康的に無理なくウイスキーを楽しめる商品を開発中。 ウイスキーが持つ魅力と健康への効用をより多くの方が知ることになり、国産ウイスキー業界の裾野を広げることに貢献し、ジャパニーズウイスキーの価値を守り、正しい形で世界に広げるために、ジャパニーズウィスキーと日本の食文化をテーマにジャパニーズウィスキーの啓蒙活動を行う。 

 

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