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今日は、以前にもご紹介いたしましたが、中島要さんが書かれた、『着物始末暦(きものしまつごよみ)』を読み終わりましたので、感想を中心にお伝えしたいと思います。
この小説の主人公は、着物の始末屋の余一と、余一に思いを寄せる一善飯屋『だるまや』の娘、お糸を中心にした物語です。
『着物と女は何度でも蘇る』、確か余一のそんな言葉が作中に出てきたと思います。
余一にかかれば、古いくたびれた着物やシミなどがある着物も、見違えるように美しく再生します。
シリーズ10巻を読み終えて感じたことは、余一が再生するのは『着物』だけではなく、いろいろなトラブルや、もつれた人間関係も、見事に再生する手腕があるのではないか、ということです。
いずれにしても、着物生地を蒐集している私にとっては、まさに夢のような小説であったことは確かです。人間関係もとてもうまく構築され、描かれていて、読んでいて飽きることがなかったと思います。
私も、かつて幕末の時代小説が書きたくて、何回か文章を書き連ねましたが、このように、様々な伏線を用意して、おもしろく書けないので、断念した経緯があります。
私の場合は、小説というよりはライトノベルに近い書き方だったかもしれませんが、人に楽しく・読みやすく読んでいただくものを書くことは難しいことだと思います。
巻末のあとがきに、作者が
「読書は、なかなか面倒くさいものだと思います。文字を追い、登場人物の名前を覚え、場面を想像し、『時にはこんな設定あったっけ』と首をひねり、ページを遡り‥‥。そういう手間をかけて、ようやく作者の考えた物語が『見える』のです。」
「読者の頭の中に、余一が始末したさまざまなきものが色鮮やかに浮かび上がっていたら、お糸の笑い声やおみつの文句を言う声が聞こえていたら、作者としてはこれに勝る喜びはありません(中略)」
まさにこのあとがきの通り、10巻にわたる長編でしたから、一気に全巻読まない限り、作者が言われているようなあっちこちの往復は、何度となくありました。
でも、作中の登場人物は、テレビの最近の時代劇『大富豪同心』のようなイメージで頭の中に鮮明に映し出されていまた。
大富豪同心は、NHKがBSで放送した時代劇ですが、コミカルなタッチと最後は良い感じで物語が終わるので、『着物始末暦(きものしまつごよみ)』をドラマ化する場合は、良いお手本になる気がしています。
特にNHKさんは関連会社で大量の着物をお持ちなので、着物始末暦をドラマ化するには、かなりクオリティの高いドラマになるのではないかと思います。
ドラマに登場する人物の着物も、かなり豪華だったり、良い生地の着物だったと記憶しています。
今回、久しぶりに10巻のシリーズものの小説を読んだわけですが、読み終えると、とてもすがすがしい余韻が残り、満足感で高揚した気持ちになれました。
恐らく、私が小説に出てくる『余一』の技術や、着物生地を巡る様々な話題に、自然に『感情移入』ができたからだと思っています。
できれば、是非テレビでドラマ化されると嬉しいなと思います。見ごたえのある作品で、uribou太鼓判の番組になってくれるもののと確信しています。
さて、読み終えた余韻冷めやらぬうちに、中島 要さんの別の作品も読んで見たいと思います。今風の物語もあるのですが、引き続き時代小説にしたいと思います。
ゆっくり少しずつ読むので時間は、かかりますが、読み終えましたら、感想等をお伝えしたいと思います。