幻のウイスキー ウシュクベストーンフラゴン170を求めて

今日は、スコッチの中でも独特の風格がある『ウシュクベストーンフラゴン』をフォーカスしていきたいと思います。

世界の名酒辞典に掲載され出した、1982年頃から現在に至るまでほぼ変わらぬ姿で存在しています。

最近は、ネットでしか見かけませんが、現在も作り続けられているようです。金色や青色の陶器ボトルまでたまに見かけます。

ウシュクベストーンフラゴンは、ウイスキーメディアBARRELのホームページに過去の歴史が詳しく記されています。

www.barrel365.com

要約しながら、私見を交えて振り返ってみると、ウシュクベの歴史はすごく古く、現在より250年以上前まで遡ります。

1768年3月28日、ロス&キャメロン社からシングルモルトウイスキーとしてウシュクベはリリースされます。1768年は、アメリカ独立戦争やフランス革命もまだで、日本では江戸時代。第11代将軍、徳川家斉(いえなり)の頃です。


1842年までロス&キャメロン社がシングルモルトとして製造を続けていましたが、ウシュクベが正式に製品登録されたのは1876年。

その後、ウィリアムグリゴール&サンズに譲渡され、ここでシングルモルトから、ブレンデッドモルト(ヴァッテドモルト)ウイスキーに変更されます。

さらに1969年になると、アメリカのトゥェルブ・ストーン・フラゴンズ社が商標権を買収し、ウシュクベストーンフラゴンが誕生します。

 

ウシュクベのブレンディングはダグラス・レイン社が受け持っていましたが、1990年代になり、ウシュクベの需要が急速に拡大すると増産に対応するため、ブレンディング契約をダグラス・レイン社から大量生産が可能なホワイト&マッカイ社に変更しています。

私が見ている『世界の名酒辞典』では、ウシュクベストーフラゴンの掲載が1882~83年版からですが、その頃(日本ではウイスキーの特級表示が80年代はされていた頃)、ブレンディングを担当している会社がダグラス・レインだったわけです。

※ダグラス・レイン社の頃と思われる特級表示のボトル。なんと鏡張りのお家付きでした。注意深くボトルを観察すると、半透明のシールが貼ってありました。

 

ウシュクベのストーンフラゴンは、陶器ボトルの記載に『Over 210years of trasdition』と記載されているだけです。

ボトルに特級のシールでも貼っていない限り、あるいは陶器ボトルの再利用がされていない前提で、ウエッジウッドなどの陶器ボトルの製造者から、年代を割り出していかないと、ダグラス・レイン製からホワイト&マッカイ製に変わったあたりの「味わいの変化」は分らないかもしれませんね。

ウシュクベのレシピは門外不出で、基本的には味わいは変わらないはずですが、年代と共に同じ原酒の味わいすら変わっていくわけですから、製造者が変われば味わいも変わって来るのではないかと考えています。

いずれにしても、ウシュクベストーンフラゴンは、たまに2~3本のまとめ売りが古物商から出るので、あと10~20本くらいはオークションで買って研究して見るのも面白いかもしれませんね。


その後、ウシュクベはグローバル戦略がうまくいかず、一時生産を中止した時期があります。2000年初頭の『世界の名酒辞典』にはウシュクベが全く記載されていない時期があるのも、腑に落ちます。

2005年、ニュージャージー州のコバルトブランド社がウシュクベのレシピと商標を取得し、ダグラス・レイン社と再契約し2009年、ウシュクベが再発売されるのです。

恐らくこの時にボトルの表記は、『Over 210years of trasdition』から『Over 225years of trasdition』に変わったのではないでしょうか。現在はウシュクベの製造と販売はコバルトブランズ社が行なっているとのことです。

情報が氾濫している現代社会においても、ウシュクベのレシピ(キーモルトやグレーン原酒の出所)は非公開、門外不出とされています。でも最高級品のブルーフラゴンにはキーモルトが多少ではありますが明記されています。

そのラインナップは

・インチガワー
・ベンリネス
・クレイゲラキ
・グレンゴイン
・ダルユーイン
・ブレアソール
・オスロスク

などです。

ハイランド・スペイサイドの名門蒸留所が盛りだくさんといった感じです。美味しくないわけがないですよね。

リリースから200年以上、オーナーや製造者は転々としましたが、ウシュクベのブレンドレシピは受け継がれ、多くの人に愛されてきたのではないかと思います。

そんななかで、私が探しているのは幻のウシュクベストーンフラゴンです。いろいろなホームページやブログを渡り歩いて、ふとしたくだりに目が留まりました。『Over 210years of trasdition』の前に、『Over 170years of trasdition』の陶器ボトル(ストーンフラゴン)があるというものです。

今までたくさん、ストーンフラゴンを見てきましたが、現物を見たことはありませんでした。でも、いろいろ探してみて、ついに見つけました。

ameblo.jp

上記のリンクで、右の写真を見てみるとしっかり、『Over 170years of trasdition』の文字が。

※上記ゲンドウみちろうさんのブログより

これはすごい。ボトルの底には税関のスタンプが押してあり、1959年と表示されているようです。

ゲンドウさんは、新橋でバーを経営されているようなので、行ったら170を飲むことができるかもしれませんね。

きっといつかは、オークションでも出品されるときがあるかもしれないので、気長に探してみることにします。

 

それにしても1959年、私が生まれる前のボトルですね。60年以上も経過して現代によみがえるなんて、壮大なウイスキーのロマンを感じます。

 

さて、せっかくですから、今家にある3本のウシュクベストーンフラゴン、それぞれ飲み比べてみたいと思います。

真ん中が、今回セットで落札したウェッジウッド製のストーンフラゴンです。茶色の部分が、このブログのイメージマスコット『ウリボウ』のベースカラーに近い気がします。

【今回落札したウシュクベストーンフラゴン210】

最初が、向かって右側の今回陶器ボトル6本セットで落札したものです。最初はちょっと香水のようなケミカルな香りと多少のエグミがありましたが、開封して一週間以上たったためか、ずいぶん穏やかな味わいに変化しました。

コクがあり、モルティ。こってりした味わいが特徴です。余韻もまろやかな黒飴のような甘みが口の中に穏やかに残ります。

80年代初期の世界の名酒辞典では、ウシュクベストーンフラゴンのお値段はなんと、7万円です。一緒に掲載されていたウシュクベクリスタルのお値段は、25万円。

説明書きには日本で現在販売されているスコッチの中では一番高価で売られているウイスキーとの記載があります。

7万円でも十分高価だと思います。93年の世界の銘酒辞典では、ウシュクベストーンフラゴンは3万円、クリスタルは20万円になっていますが、いずれにしても高価なウイスキーに変わりはないと思います。解説には、25種以上のモルト原酒で27年以上熟成させたものを使用、と書かれています。すごいですね。

 

【以前落札したストーンフラゴン210】

基本的な味わいは、前述の210と同じなのですが、こちらの方がスッキリ感があり、後述の225に近い味わいになっています。

香りも穏やかで、飲みやすくなっています。また、マンゴーや完熟したバナナのようなフルーツの味わいも余韻として感じられる気がします。

 

 

【ストーンフラゴン225 750㎖】

700㎖になる前の、現行ボトルの少し前のボトルになると思います。やや甘めの香りがして、上記の以前落札した210に近い味わいです。

むしろかなり飲みやすくなっている気がします。モルト原酒の変化があるのかもしれませんが、これはこれで美味しく飲めると思います。

必ずしも、そうなるとは明言できませんが、陶器ボトルの特色の1つとして、時間の経過とともに本来の味わいに戻っていくような気がします。

 

陶器のボトルの中で熟成が進むとは考えにくいですが、コルクキャップを通じて外気との交流は少なからずあるわけで、30年、40年と、どのような環境で保管されていたかによって、味わいはかなり変わって来るのではないかと思います。

幸いにして今回飲み比べた3本は、どれも甲乙つけずらいくらい、とても素晴らしい味わいでした。

最初の今回落札したウェッジウッドの陶器ボトルは、荒々しい風味も当初感じられ、野太い風味でしたが、後述の2本は上品なスペイサイドのシングルモルトを味わっているような感じでした。

ストーンフラゴンは8割近くをモルト原酒が占めており、グレーンウイスキーの比率は極めて少ないのが特徴です。

ですから、状態が良いボトルをゲットできると、昔のハイランドやスペイサイドの古い原酒を味わうことが出来るのも大きな魅力ではないかと考えます。

 

心地良い酔い。今回味わった3本のボトルを飲んで、一番感じたことです。

今年の8月で62歳になる私ですが、オールドボトルは時として自分が生まれた頃に瓶詰めされたものを味わうことが出来ます。

蒸留された年は、ウシュクベストーンフラゴンで言うと、さらに27年も昔に遡ります。1959年からさらに27年前?1932年の世界の出来事などを考えると、想像するだけでワクワクしてきます。

 

ストーンフラゴン、いろいろ飲んでみて、さらに調べてみると、あらためてスコッチの歴史と懐の深さに驚かされる思いです。

これからも、ストーンフラゴンはオークション等で落札して、いつかは幻の170を手に入れてみたいと思います。

 

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。最後に撮影ブースの敷物を新しくしたので、ウリボウ達の写真をお届けしてお別れしたいと思います。それでは失礼いたします。

 

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