麦秋に思う

仕事で疲れたのか、昨日はサクッと寝てしまいました。明け方から起きて、駅からの帰りしなに駅前の麦畑の写真を撮ったことを思い出しました。「麦秋」という言葉・・・学生時代にならったような。確か初夏の季語だった気がします。

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私の子供の頃、水田はほとんどなくなりつつあり、家の周りは麦畑が多かったと思います。東京の多摩地区や練馬あたりは畑が多かったのです。この麦畑もおそらく練馬区であり、保谷の駅から徒歩2分くらいのところにあります。

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麦の種類はわかりませんが、だんだんと麦藁色に変わりつつあり、5月末~6月近くには刈り入れを迎えるのだと思います。

多摩地区では、昔から「武蔵野うどん」と称して、栽培された麦を使った「うどん」が食べられていました。おそらく多摩地区に限らず関東一帯で水田でお米を作らない農家では、代替作物として麦の栽培が盛んに行われて、うどんは米の補助食として食べられてきたのかもしれません。

 

ウィキペディアでは「武蔵野うどん」について、次のようにまとめられています。(以下引用)

 

『歴史​

多摩川と荒川に挟まれた武蔵野台地は、赤土で不毛の土壌である関東ローム層で厚く覆われているものの、その上に作物栽培に適した黒土の腐食土層が堆積している。しかも、密度の高い関東ローム層は保水性に優れているため、作物には理想的な地層構造になっている。
しかし、台地内には大きな河川がなく、米作に不可欠な水源に乏しい。そのため、武蔵野地域は江戸時代から小麦・大麦を中心とした農業地帯として発展し、うどんはその代表的な郷土料理となった。水田をまかなうほどの水は確保できなかったものの生活用水や小さな川はあり、水車製粉が盛んに行われてきた歴史がある。

各家庭でうどんを打つ習慣があり日常的に食べられていたが、正月やお盆に本家に集まった親戚一同の米にかわるごちそうとしても欠かせない食べ物とされ、一部の地域では、冠婚葬祭で一連の会食が終わった後に「本膳」としてうどんが出されてもいる。武蔵野では「うどんが打てなければ、女は嫁に行けない」とまでいわれた時代があったほどである。

特徴​

もともと郷土料理であるため、使用される小麦粉は武蔵野台地で生産されたものを使用する事が原則(地産地消)である。麺は、一般的なうどんよりも太く、色はやや茶色がかっている。加水率は低く塩分は高めである。コシがかなり強く、食感は力強い物でゴツゴツしている(つるりとはしていない)。
食するときには麺は、ざるに盛って「ざるうどん」もしくは「もりうどん」とする。つけ麺の汁は、かつお出汁を主とした強い味で甘みがある。シイタケ、ゴマなどを具として混ぜたものを、温かいまま茶碗ないしそれに近い大きさの器に盛る。ネギや油揚げなどの薬味を好みで混ぜ、汁をうどんにからませて食べる。

豚肉の細切れを具にしたメニューの「肉汁うどん」などは明治時代中期以降の食べ方で、商業化された「武蔵野うどん」の店舗では「肉汁うどん」「きのこ汁うどん」が「武蔵野うどん」であるかのように近年売り出しているが、「武蔵野うどん」とは武蔵野地方で「手打ちうどん」と呼ばれるコシの強いうどんの麺を指す用語である。
天ぷらうどんのような食べ方は元々なく、「糧(かて)」と呼ばれる具(主に茹でた野菜)が付く程度である。また、明治維新以前から北多摩の農村部地域ではうどん汁に獣肉(豚肉)を入れていた。

地元郷土料理の食べ方は、本家に正月、お盆に集まりザル無しの大皿にうどんをもり、熱い汁を味噌汁の汁椀に入れて食す。汁はすぐに冷めるが、汁のおかわりは普通である。 』

 

家の近くにも、車で15分くらい走った街道沿いに武蔵野うどんを出すお店があります。色は薄紫から茶色がかった色合いで、少し硬めです。麺の量は大・中・普通と選べたと思いますが、私には少し硬いので中盛以上をたべるとお腹がもたれる感じがします。

でも、半年くらい食べないとなぜか無性に食べたくなり、心惹かれるところがあるのも確かです。武蔵野うどんは、多摩地区の人間にとってはある意味、ソールフードなのかもしれません。

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現在、ウィスキーにはまって日々ブログを書いていますが、ウィスキーの原料も麦です。なかなか日本産の麦でウィスキーを作る事例は、まだ多くはないと思います。作付面積や収穫量、品種特性や気候風土にいたるまで、ウィスキーの原料になるためには、様々な問題をクリアーしないといけないのかもしれません。

毎日通勤に使う道の傍らに、麦畑があるといろいろ考えてしまいます。でも、この風景、いつまでも残って欲しいと思っています。

 

 

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