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グレンリベット12年の変遷について①

今日はグレンリベット12年について、今取り組んでいることを簡単にまとめます。

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まずグレンリベットについてですが、スコットランドの北側、ハイランド地方のなかでも、スペイ川周辺にウイスキーの蒸留所が多数集まっている、スペイサイド地区に位置しています。

スコッチウイスキーは、政府公認になるまでは、密造時代が長らく続いていましたが、1823年に酒税法が改正され、公認蒸留所の税金等が大幅に引き下げられています。

いち早く、密造者から政府公認1号蒸留所『グレンリベット』設立へ舵を切ったジョージ・スミスが、事業として成功したため、多くの密造者が追随し、グレンリベットを名乗る蒸留所や銘柄が増えたと言われています。

スミスは、訴訟を起こしこれに勝訴し、定冠詞の「The」を蒸留所や商品名に付けたグレンリベットだけがグレンリベットを名乗れるようになったわけです。

ですから、グレンリベットのボトルを見ると、必ず定冠詞の「The」が付いているという訳です。

これによりスコッチウイスキーの産業化が加速し19世紀の後半にはスコッチウイスキーの税収が、イギリスの税収の約4割になるほど、ウイスキーは財政の柱となったと言われています。

今の日本の自動車産業のようなものだと思います。どこの国でも、柔軟な発想の人が出てきて、規制を緩和し、多くの人を巻き込んで産業を興すまでになると、国の財政にまで寄与するようなことが実現するわけです。

今の日本政府も見習って、国民から税金を搾り取るだけでなく、多くの人がお金を払いたくなるような物やサービスをを創り出すことに国民の英知を結集するような取り組みをして欲しいですね。

横道にそれましたが、グレンリベット12年の話に戻ります。このブログでは特にグレンリベット12年について、突っ込んで取り上げていこうと思います。

グレンリベットの経営はスミス家から今は大手に買収されて、経営の大規模化が推進され、シングルモルトの売り上げナンバーワンのグレンフィディックに追いつけ・追い越せの経営方針になっています。

かなりの方針変化が見られるのですが、その中でも代表銘柄のグレンリベット12年の味わいがどのように変化してきたのか、とっても気になっています。

 

『アンブレンデッド表記ラベル』のボトル

俗に『アンブレンデッド表記ラベル』(Unblended all malt Scotch Whisky)と言われているボトルの時代です。

私の財力で買える最初のボトルは、1974年から1980年中頃にかけてのボトルです。これ以前のボトルは、価格も高く状態のリスクもありますので、このあたりのボトルから見て行こうと思います。

 

味わいの特徴としては

  • 甘露でコクがある
  • 旨みが深く余韻もすばらいしい

※詳細は8月25日にも記事でアップいたします

バーでも、このボトルは結構置いてあるお店も多く、甘露でコクのある味わいが特徴です。ボトルの裏側のラベルには創業者のジョージ・スミス氏の肖像画が掲載されています。

この時代までは、まだまだグレーンウイスキーをブレンドした『ブレンデッドウィスキー』全盛の時代です。

1989年版の世界の銘酒辞典を見てみても、ウイスキー部門のモルトウイスキーの掲載ボトルは80くらいに対して、ブレンデッドウィスキーの銘柄は250を超えています。

それでも1980年に入ると年を追うごとにモルトウイスキーの銘柄数は増えています。

 

なお1960年代後半には、スミス家による伝統的な家族経営から、より組織的な企業経営への移行が進みました。この流れはシーグラム社、ペルノ・リカール社へとつながっていきます。

でもそのおかげで、グレンリベット蒸留所では大規模な設備投資が行われ、1970年代にはより効率的な生産ができるように変わっています。

このボトルは、12年物ですから家族経営のぬくもりが残る最後のボトルになっているように思えます。甘露な味わいは温かい手作り感のある味わいでの現れではないでしょうか。

 

『ピュアシングルモルト表記ラベル』のボトル

1980年代後半になると、「Pure Single Malt Scotch Whisky」という表記に変わっていきます。

※詳細は8月25日にも記事でアップいたします。

 

この時代は、シーグラム社の傘下で経営されていました。スコッチウイスキー業界全体が深刻な不況に陥っており、ウイスキー暗黒時代とも言われいました。

そのような中で、このボトルの味わいは

  • まろやかな旨み
  • フレッシュでフルーティーな味わい

が特徴で、引き続きアンブレデッド時代の美味しさと、現在につながるフルーティーな味わいへの変化の起点ともいえる味わいが感られる気がします。

なんとかウイスキー不況からの脱却が模索されていた時代、わずかですが、変化の兆しは見えてきたのではないでしょうか。

 

『ピュアシングルモルト表記 レイアウト変更』のボトル

1990年代に入るとモルトウィスキーの販売が増え始めて来る時代です。

グレンフィディックの奮闘で1980年代頃からシングルモルトウイスキーは認知され始めますが、日本では本格的に認知されるのは1990年代以降だと思います。

さて、この年代のグレンリベット12年のボトルラベルは、ピュアシングルモルト表記ラベルのレイアウト変更が行われています。

気になる方は、直前のボトル写真と見比べていただけたらと思います。このボトルの記事は、7月30日にアップしております。

uribouwataru.com

 

このボトルの味わいの特徴は、

  • コクの他にサッパリした旨み
  • スモーキーさとフルーティーさの両立

にあるように思えます。

この味わいから、本格的に現在のグレンリベット12年の味わいにつながる路線変更が始まったと思えます。大規模投資の生産性の効率化も寄与し始めたのではないでしょうか。

味わいはこのボトル以降、明らかに均一化して行き、オークション等で購入してもハズレボトルを引く割合いは減っているように思えます。

 

なお、1990年半ば以降は、現行ボトルに近いデザインに変更されています。このボトルとの端境期はわかりませんが、ざっくり半ばとさせてください。

なお、このボトル以降は、モダンなデザインに変更されていますが、ラベルのデザインも少なくても4回は変更されており、現在各ボトルを手配しています。

経営も大規模化して効率を意識して生産され始めたボトルだと思いますが、それぞれに味わいの違いはあるかと思います。

なお、グレンリベット蒸留所は、スミス家から大手企業への経営譲渡が行われて以降、生産量は大幅に増加ししていいきます。

2000年代に入りシングルモルトブームが到来し、世界的に需要が急増したことを受け、グレンリベットは再び大規模な拡張計画を立て、2010年には マッシュタン、ポットスチル等が増設され、生産能力が75%向上しています。

2016年にもマッシュタン、ポットスチル等が増設され、年間生産能力は2,100万リットルに達しています。

この期間にリリースされたボトルは、今回取り上げた3本のボトルのような明確な味わいの違いはないかもしれませんが、できる限り手に入れて飲んでいきたいと思います。

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