10年ぶりくらいに渋谷発祥の煮干しラーメン、時代屋さんに伺いました。
お目当ては、どんこラーメンを食べるためです。
ここ何日かお店に伺いましたが、最近は営業時間が遅いスタートになっていて、私の訪問した時と営業時間がかみ合っていなかったみたいです。
心配になって、昼間電話すると、夕方は18時半からとのこと。待ちきれない気持ちを抑えて、駅までのんびり歩きます。
久しぶりの時代屋さん。
北口の私の家から、南口の時代屋さんまでは、700メートくらいあるので、のんびり歩くと10分くらいはかかります。
満を持して店に入ろうとすると、まだ準備中の札。お湯が沸くまで、15分はかかるので、待ってもらえるなら、どうぞとのこと。
暇な無職男ですから、中に入れてもらい、待させていただきました。お店の中は10年前と全く変わってません。

そうこうしているうちに、ラーメンが来ました。私が楽しみにしていたどんこラーメンは15年前に販売を止めたそうです。
そうだ、作る人が別の支店に行ったと聞いたことを思い出しました。久米川か東村山だったかな・・・
でも今は渋谷本店や他の地域の店もすべてなくなり、この保谷店が現存する唯一の時代屋さんになるようです。

程なく運ばれてきたチャーシュー麺は、昔ながらの香りが漂っています。
スープから味わうと煮干しの出汁が利いたとっても美味しい味わいです。懐かしい。
もう、私が愛し合た時代屋のどんこラーメンはこの世のどこにも存在しないのです。悲しいです。

お店には、常連さんが集まり女将さんと話をしながら盛り上がっています。
またここに来ることは許さるのかな。私が昔の話で盛り上がるのも場違いのように思えます。
そう、ながらくご無沙汰にした私が悪いのです。もう来ることはないかもしれません。
ふと寂しさがこみ上げてきて、3年前くらい、奥さんが元気だった頃たまに行っていた焼き鳥屋さん、丸越に立ち寄りました。
奥さんも具合が悪くなり、ずいぶんご無沙汰してしまいました。コンビの2人のおばちゃんは定年の80歳でリタイアされたとのこと。
もうおひとりは、お亡くなりになられたとのことです。楽しいおばちゃんとの会話が忘れられません。
マスターも現在、75歳であと5年で引退するとのことです。時間がどんどん過ぎていき私の周りの人が少しずつ遠ざかっていく気がします。

美味しい焼き鳥とお新香を食べ焼酎を飲み終えると、お店を出ました。また奥さんと来たかったな・・
今となっては叶わぬ望みです。
店を出ると、目の前を電車が通り過ぎていきます。奥さんがいなくなり、親戚の人も毎年のようにいなくなる。
おそらく、この電車のように人生の時間が過ぎていくのでしょう。
気が付くと私も最後の時を迎えていて、家で寝ながら奥さんが最後の時を待っている時の状況を思い出します。
ああこのときって、お奥さんもこのような気持ちだったんだなと、時間がつながって気がつくのではないかと。
でも私は最後の時が近づいている人に、気の利いたことばが浮かばなかった。
息子と最後は泣きながら何度も奥さんに「ありがとう」と言っていました。声はおそらく、きこえていなかったかもですが・・・

夜道を帰りながら、独りで生きていくことの寂しさを改めて身に染みて感じさせられました。
旅行しても、美味しいものを食べても、独りだと楽しくないですね。今回の仙台旅行も一緒にいてくれる人がいてとっても良かったです。

家に帰って改めて、飲み直しました。辛口のカティサークが、いっそう辛く感じます。
私のような寂しがりやにとって、家のローンがやっと終わり、退職して、これから奥さんとのんびりとした定年後の人生を楽しみにしていた男にとっては、とても残酷な別れになっています。
奥さんが私が楽しみにしていたことを知っていたので、泣きながら『ごめんね』と謝られたときの胸を刺す痛みが、まだ昨日のことのように蘇ります。
私の夢は、吉川英治の新平家物語のエンディングのように、桜の花が舞い散る中に、のんびりと時間が過ぎていく風景を夫婦で見守りたかったのです。
まだ半年もたっていないためか、このようなことを考え続けてしまいます。
どうか皆様もわたしのような後悔はしないよう、奥様との時間は日々楽しんでいただければと思います。
