今日は、以前もお伝えしておりましたが、白州の現行ボトルと旧ボトルの飲み比べをしてみたいと思います。
その前に、まずは外見上の違いについて触れたいと思います。ぱっと見、両者の違いはよく見ないと判りません。
でも、きちんと見比べると旧ボトルは、漢字のy横の英文の表記も異なっています。旧ボトルは、「THE HAKUSHU SINGLE MALT WHIKY」であるのに対して、現行ボトルは、「THE HAKUSHU SINGLE MALT JAPANESE WHIKY」に変わっています。
その下の小さなグリーンの文字も旧ボトルは三段書きなのに対して、現行ボトルは四段書きになっています。裏面の説明文やサントリーの会社名の表記も異なっています。
単にラベルだけ変えた可能性もありますが、原酒の樽構成やブレンド割合も変わってきていると思った方が自然だと思います。
最初に飲み比べた印象は、そんなに大きな違いはないのでは?という感覚です。
香り、味わい、細かく飲み比べする前ですが、最初の印象としては大きな違いがないということです。
でも、細かく見て行くと微妙に違う気がします。果たして、どれだけの人がその違いに気が付くかというレベルだと思います。
正直、ラベルが変わらなくても、シングルモルトウィスキーは、シングルカスク(同じ樽)でないかぎり、同じ味わいをすべてのボトルで均一化を保つことは難しいことだと思います。
それでも、私の気のせいかもしれませんが、両者の違いについてまとめてみたいと思います。
それでは、まず
<香り>
最初は両者とも、わずかにツンと来る感じはしましたが、飲むほどに甘い爽やかな香りに変わっていきます。
最初は現行ボトルの方がアルコール感を強く感じましたが、次第に両者の香りは同じに感じてきます。
<色合い>
ほとんど変わらないと思います。両者とも、淡い黄金色。薄い枯芝色です。朝日のような穏やかな色合いです。
<味わい>
旧ボトル
- まろやかで複雑なフレッシュな味わい
- 青りんごのような瑞々しい味わい
- 多く口に含むと、余韻は麦のうま味が出てきます
- さっぱりとした味わいの中にも原酒のうま味も感じられます
- 繊細なクリーミーな余韻がキックバックしてくる感じ
現行ボトル
- フレッシュな味わいの中にもドライ感
- 少しの苦み
- 軽めの味わいが支配的でドライな味わいが続く
- クリーミーな味わいも感じられる
そんなに大きな違いはないかもしれませんが、個人的な好みは旧ボトルかもしれません。飲み比べない限り、それほど大きな違いは感じられないレベルだと思います。
ここまでの水準で、同一な味わいを出せるという事はある意味、すごいことだと思います。
最初の飲み比べをし始めた頃、それぞれ一口、二口飲んだ後の余韻は、フルーティーな青りんごのような風味が最後に訪れ、仕込み水の凄さか、樽の効果か定かではありませんが、とても幸せな風味を感じました。
これは私の錯覚かもしれませんが、仕込み水の美味さは、スコッチよりも日本の山岳系の蒸留所に分があるとおえてなりません。
繊細な味わいは、スコッチでも当然すごいものがあるのですが、ノンビンテージ(ノンエイジ)のもので、ここまでクオリティの高いもはない気がします。
そういう意味においては、山崎のウイスキーは、ミズナラの風味はとても素晴らしいのですが、仕込み水の美味さという点においては、やはり白州の南アルプスの天然水に繊細な味わいを感じる気がするのです。
別にスコッチの仕込み水が悪いということではないのですが、やはりフレッシュな味わいには大きく、仕込み水が関与しているように思えてなりません。
良くも悪くも、ウイスキーはワインやビール(醸造酒)のような短い時間軸の商品とは異なり、蒸留酒として、蒸留したあとの仕込み水や樽の違い、貯蔵する地域の風土に貯蔵年数が長い分、それらの要素により多くの影響を受けることになります。
白州は、他のサントリーのどのウイスキーよりも、仕込み水の恩恵を受け、素朴な樽の味わいを素直に原酒に宿しているように思えてなりません。
今回は、白州の新旧ボトルの違いを取り上げましたが、ソーダ割(ハイボール)で飲んだら、その違いは全く分からないと思います。
今回の私のテイスティングは、サントリーの人から見たら、お笑い草のレベルかと思います。それでも味わい的には、多少の違いがあるように感じます。
この白州のような日本の繊細なウイスキーは、スコッチではグレンフィディックやグレンリベットと比較する価値はあると思います。
味わいを特に比較したいのが、先般も取り上げたグレンフィディックの旧ボトルです。90年代くらいのものはヤフオクでも2,000~3,000円で手に入りますので、白州の旧ボトルとの飲み比べは面白いと思います。
近いうちに是非やってみようと思います。
ここまで、お付き合いいただき、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。