【はじめに】
今日は、シリーズものの着物生地の紹介ではなく、過去に更紗模様の手織り真綿紬の生地で作った、小品が出てきましたので、再度振り返ってみたいと思います。
【過去の作品】
こちらの巾着は、数年前に作った物です。真綿紬の生地に革の底を縫い付けた巾着になります。
【真綿紬とは】
真綿紬は紬の中でも、特別な紬だと思います。
真綿紬って聞くと、ピンとこない方も多いかもしれませんが、真綿紬の素材は木綿ではなく、絹になります。
真綿紬の『真綿』とは、繭を蒸してやわらかい綿のような状態にしたもので、それを『真綿』と言います。
過去多くの真綿紬を購入・落札して来ましたが、経糸(たて糸)のみ真綿の絹糸を使ったものと、緯糸(よこ糸)まで両方真綿の糸を使ったもの(『本真綿紬』)の2種類あると思います。
【コレクターとしての経験】
長年真綿紬にこだわって集めてみると、経糸、緯糸とも真綿の絹糸を使った生地は、とてもふわっとしてまさに綿のように感じます。そして、柔らかく軽いのです。
私が真綿紬にこだわるのは、木綿(植物の綿)の生地で作った小物よりも真綿(絹)を使った小物の方が、断然肌触りが良いからです。
さらに真綿に加工する繭の処理の仕方にも、2種類ありその処理の仕方でも、風合いは変わってくると思います。ここではあえて触れません。
【紬ぐと紡ぐの意味の違い】
また、「紡ぐ」という意味と、『紬ぐ』という意味が異なることも重要だと思います。
紡ぐとは、綿や羊毛など繊維の長短あるものを組み合わせて紡いでいくことを表すのに対して、紬のつむぐという意味は、1つの蚕の繭から糸が切れないように、長く糸を引き出し続けることを指します。
【人間関係も・・・】
人間関係なども、自然に引き出され、紬がれたものの方が、強引に紡がれたものよりも、違和感がなくて良いですね。
西洋との文化の違いもあるかもしれませんが、『紬』の関係の方が、日本的で私は好きですね。
今の日本の管理社会は、強引に組織の人間を紡ぐことに全力を傾けていますが、私のようなマイペースの人間は、長く時間をかけて個性を引き出すような、紬糸のようなやり方の方が、かえって上手くいく気がします。(どうでもいい話ですいません)
【最近の真綿紬の入手状況】
話は横道にそれましたが、最近は真綿紬の着物の出品も少なく、安い価格で材料用の真綿紬の着物を手に入れることが中々できません。
特に素敵な柄(絣模様)にまでこだわって探すと、さらに難しい状況になります。
昔は100円~1,000円くらいでも入手できたのが、最近では数千円くらいするのが、普通になってきました。それでも出物があるだけでも、ありがたいくらいです。
【おススメの真綿紬で作る小物】
私が真綿紬の小物で、作っておススメだなと思う物は、枕カバーやクッションカバー、あと巾着などが肌触りとしては最高で、良いな~と思います。
あと、読書がお好きな方は、本真綿紬で作ったブックカバーを是非とも作って、お好きな本に使って欲しいですね。
上の巾着は結び止めにとんぼ玉を使っています。裏地はブロード。ウイスキーを運ぶときに使っていました。
下のブックカバーは、真綿紬(結城紬)で作ったブックカバーになります。
【今回の作品】
今回の作品は、過去数回ご紹介している底付の巾着です。東京の浅草橋で購入した薄い革を使っています。
浅草橋は、様々な革を入手できるので、とても便利な街ですね。底の部分は恐らく豚の革(安くてとても柔らかい)を使っています。
真綿紬と薄い革のマッチング、感触がとても素晴らしいと思います。アクセントで木製の結び止めも付けています。
これからも、良い革を入手し、技術を磨いて素敵な巾着を作って行きたいと思います。
さて、この巾着の中身はというと・・・